1-13 幻の笛 ~花衣
窓をうつ 吹雪
パリの町は
銀いろに 彩られて
耳をすますと
かすかに 聞こえてくる
ほそく淋しい 笛の音
それは
吹雪の日にだけ
聞こえる と言う
氷雪の アルプスから
風がはこぶ 笛の音
マリーアントワネットの
こよなく 愛した
銀いろの 鹿が
悲しみを 伝える
ちぎれるような
幻の笛 なのです
ブローニュの森を
ヴェルサイユ宮殿を
コンコルド広場を
ノートルダム寺院を
モンマルトルの丘を
セーヌ川を
幻の 笛の音は
パリの吹雪のなかを
かけめぐって
ホラ
聞こえてきます
「ヒョー ヒョー ロロ ヒョー」
【メモ】