0 はじめに
これら7曲は、前編の「ライオンの子守唄」につづく後編であり、この2冊の曲集でアフリカの大地に寄せる野生動物のバラードが完結するわけです。
作曲者としてとくに細心の注意をはらったのは、いろいろな動物たちの性格の違いを曲想に盛りこむことでした。でもそれが割合うまく歌いこめたと自負していますけれど……。というのも小黒恵子さんの詩が、それぞれ詩の色彩をはっきりと区別されていたからです。アフリカのサバンナに並なみならぬ興味を抱いて旅行された小黒さんの動物に対する愛情が、詩に昇華してわたしの心に響いたことは確かです。
これら14曲の中の1曲でも2曲でも皆さんの心にぐっと訴えるものがあるなら作曲者にとって、(おそらく作詞者にとっても)こんな悦びはありません。
これらの曲集を全曲耳にできるチャンスがあれば、それをきくためにわたしは作詞者の小黒さんをお誘いして、どこへでも出かけることをいとわぬつもりです。
この曲集の母胎となった作詞の小黒恵子さん、音楽之友社の淺香淳氏に心からお礼を申し上げます。
高木東六
1本の草にも1匹の虫にも、生あるもの総て生命があります。この美しい地球に共存する人間と動物や昆虫、生きとし生けるものみんな友達です。
いま私達は、この地球に残された美しい自然とともに、これらの愛すべき友達を、未来への遺産として受けつぐ使命を担っています。自然の神秘と美しさ、生命の尊さ、この--野生の大地アフリカの詩--は、それらのものへの愛の賛歌です。
先に出版された「ライオンの子守唄」と、この「飛べしま馬」の2冊の曲集に収められた詩は、幼いころから、自然と動物を真に愛して止まない私の心の詩です。とともに遙かな未来のある少年少女に贈る愛の詩です。
高木東六先生が全14曲を、先生のピアノで聞かせてくださったとき、熱くこみあげてくるものがありました。感動的なすばらしい曲を賜り感謝でいっぱいです。
またたいへんお世話になりました編集の方々にも心から感謝の言葉を捧げます。ほんとうにありがとうございました。
小黒恵子