1-4 植物園の大樹の下で ~花衣
わたしは
吸いよせられたように
橅(ぶな)の大樹に 頬をあてる
樹皮を通して 伝わる
生命の 鼓動
生きている
私と同じに 生きている
何百年もの間 大地に立って
空と握手をしてる
この大樹
わたしは
母親に抱かれた 子供のような
甘い 安らぎを感じ
目を閉じて
橅の大樹に よりかかる
安息
開放
無
わたしは
小鳥の声を 聞きながら
晩夏の 異国の大樹の下で
長い あいだ
時間と 対話していた
【朗読】
植物園の大樹の下で
朗読:大森 寿枝
【メモ】