00 あとがき

「旅は精神の若返りの泉である」と、アンデルセンは言った。
 旅は、未知の世界への期待とあこがれが躍動し、新鮮な心を呼び起してくれるその喜びがすばらしい。と同時にもうひとりの新しい自分を発見する驚きの楽しさがある。
 まして、外国の旅は、新聞もテレビも総て無関係、圧迫された日常の生活環境からは、決して得られない開放感や、未知の大自然、歴史や芸術にふれる時のその感動は、何とすばらしいことだろう。
 時の流れは、どんな人の上にも平等に通り過ぎて行く。時は常に流れ去り人もまたその流れに浮かぶ旅人。
 その限られた人生の旅の間に、より多くのものを吸収し、それによってより楽しく生きたいと思う。
 この詩集は、旅で得た感動を軽くスケッチ風にまとめたものである。
 地球儀をくるくるまわして、わたしの指のジェット機は、今日も世界中を縦横無尽に飛んで、憩いのひと時を楽しんでいる。
 この詩集を出版するにあたり、旅行読売出版社の国本詔夫氏はじめ、編集部の方々に多大なる御世話になり、その御厚情に深く感謝します。
 装幀装画ともに、ヨーロッパ旅行に、御夫婦と御一緒致しました芳賀力氏に飾って戴けました事は、最大の悦びで御座います。
 また名ガイドをして下さった近畿日本ツーリストの増田源昭さん、すばらしい旅を有難うございました。
昭和50年 太陽の季節に
                        小 黒 恵 子
※文字、文言は出版本の通りに記載しています。

詩集 ユトリロの絵のなかで 
小黒恵子