2-2 白い馬車に乗って ~白い馬車に乗って
白い馬車に乗って
石の町
坂の町
夾竹桃の 花の町
ローマの
緑の並木路を 走る
わたしは
白い絹の ドレスに
ツバの広い 帽子をかぶり
レースのショールを かけて
女王のごとく
白い馬車で いそぐ
馬蹄のひびきを
快よく感じながら
古代ローマが
中世が
ルネッサンスが
バロックが
今なお
呼吸している ローマ
-人生は短かく 芸術は長い-
馬車は走る
カッポカッポ パッポパッポ
幾年ぶりで 逢う人の
なつかしい面影を 浮かべて
黄昏の コルソ通りを抜け
コンドッティ通りへと
さしかかる
落着いて 美しい
商店の灯りが つきはじめる
わたしの胸にも 灯りがともる
スペイン広場は もうすぐ
約束の時間 十分前
カッポカッポ パッポパッポ
薔薇いろの 心電図は
いっきに 跳ねあがって
【メモ】