00 あとがき

女の一生は、喜びと悲しみと苦しみの、いろんな色彩が繊維に綾なす美しい絵巻であると思います。
人それぞれに異る人生があります。でも女としての感情は誰でも同じ。偉い女といわれるよりも、一人の男性から可愛いヽ女といわれた方がより幸せです。
ボードレールは、人生の真の魅力は賭博であると言いました。
恋もギャンブルです。女はチャンスに賭け、運に賭け男の人に賭けます。ある時は強く、ある時は弱い女と言う切札で。
ギャンブルって当れば薔薇色、外れヽば涙雨です。
外れた時には旅をしましょう。未知の地へ行く旅も勿論含めて心の旅をしてみましょう。心の旅って詩を書くことも読むこともその一つです。詩は心の旅路です。
そのうちにリンゴがお酒になるように、苦しい恋の思い出も、いつか甘くなるでしょう。恋もギャンブル、人生もギャンブル
だから生きるってすばらしいのでしょうね。私はもう少し年をとったら、恋のギャンブルに敗れた人たちの、人生相談をしてみたいと思っています。
この本が出来るに当って大変お世話になりました大久保憲一さんに深く感謝致します。
なお、私の尊敬している山内安芸子さんに挿画を飾って戴けた悦びでいっぱいです。

      一九七二年 エメラルドの季節に   小黒 恵子