3-1 サンドリエ ~サンドリエ

サンドリエ
挿画:山内安芸子
挿画:山内安芸子

サンドリエなんて言うと
すてきなひびきと
ほのかなロマンの漂う灰皿

ゴージャスなものから
鞄 バケツ トイレの形の珍品
避暑地で芸術家ぶって作った楽焼の灰皿
裸足の渚で
二人で拾った貝殻の灰皿
等々………

いつも二人の間にあるのは
灰皿とコーヒーと言葉
愛をいろどる季節の花と音楽

たのしいこと うれしいこと
くるしいこと かなしいこと
二人の愛の歴史を知っている灰皿

時には愛の言葉が溢れ
時にはけんかして
時にはかたい指切りをして
時には嘘つきになって
時には涙の粒を燃やした灰皿

喜びの涙 悲しみの涙 オレンヂ色の涙
ブルーの涙 燃える涙 冷たい涙
ほんとの涙 嘘の涙 甘い涙 苦い涙

女って幾粒の涙の首飾りをしたら
気がすむのでしょう
ねぇ そうでしょうサンドリエさん

【メモ】