0 歌曲集の出版を祝って

                    詩と音楽の会会長 平井康三郎
 世に「女流詩人」という語があるが、わが小黒恵子さんはこうしたカテゴリーに属さない詩人であると思う。まず詩に対する姿勢が自由であり、着想もきわめて独創的である。しかし、それでいて女性ならではの優しい観察眼を失わない。表現の大胆さと緻密さで対象を的確に描きだすあたり、まことに心にくいばかり、才気煥発という言葉がぴったりであろう。
 「詩と音楽の会」主催の「新しい日本の歌発表会」には第11回から参加され、ほとんど毎回斬新な詩を寄せられているが、そうした作品の中から彼女自身が選んだ9つの歌曲をここに集めて出版されることは、芸術歌曲の分野における彼女の業績の一応のまとめとして欣ばしい限りであり、これを契機として今後の新しい詩境の開発に大きな期待が寄せられるゆえんである。心からなる悦びをこめて………。


                             小黒恵子
 この歌曲集は、詩と音楽の会の「新しい日本の歌」で演奏された中から、9曲を選びました。これ等はNHKラジオの、新春番組にて放送されました。
 うたにはそれぞれの、その時どきの背景にある思い出があります。今あらためて遠い日を、なつかしく振りかえっています。
 出版にあたり、詩と音楽の会会長の平井康三郎先生より、大変ありがたいお言葉を賜りまして、身に余る光栄でございます。
 そしてすてきな絵を描いてくださいました金子 之さん、大変お世話になりました小泉晶子さんに、心より感謝の花束を捧げます。
   寒椿の美しい季節に。