Ⅷ 多摩川幻想
多麻がわに 晒(さら)すてづくり
さらさらに
なにぞこのこの ここだかなしき
真冬の 多摩川は
目にしみる 藍いろ
かもめの群が
舞い下りて 舞いあがる
わたしは 遠(とお)つ祖先(みおや)の
萬葉の むかしをしのぶ
凍てつく 流れのなかに
ひざまでつかり 布を晒す
白いうなじの 娘たち
布の端を持ちあって 流れに浸す
さらさらと さらさらと さらさらと
しびれる冷たさ 頬を刺す風
けれど心に 炎を燃やして
娘たちは 唄う 唄う
恋男(わかもの)に捧げる 想いのたけを
かもめ飛び交(か)う 流れをみつめて
遥かな 昔をえがく
うつくしき多麻川 多摩川
※ 多麻川・・・楽譜の記載通り
【メモ】
作曲:嵐野英彦
楽曲データ:C-dur(無調?) 斉唱
楽譜掲載書籍:小黒恵子の詩による歌曲集 うぬぼれ鏡 8曲目
音源:なし