00 あとがき
昭和四十五年に、はじめての童詩集「シツレイシマス」を出版してから、十七年目になります。
その童詩集が契機となって、新聞テレビ雑誌レコード等、発表の場を与えて戴き、エッセイや講演、詩の朗読と、大変豊かな経験と勉強をさせて戴いた恵まれた歳月でした。
こどもの世代は、人生の基盤となるもっとも大切な時期です。
詩を通して、こどもの旅の道中のひと時を、サッとかすめる風であり草花であり、昆虫であり動物であり、友達でありたいと思います。
自然の神秘と美しさ、生命の尊さ、生きる悦びと幸せを、そして愛の心を伝えたいと思います。
表題の「モンキーパズル」は、昭和五十九年にNHK「みんなのうた」で放送されたうたです。
モンキーパズルは大変珍しい木で、日本には三ヵ所にあるだけと言うことです。
その一本が熱海の伊豆山に在り、その所有者である牛島祐基氏が、昭和五十九年秋、モンキーパズルの木の下に、詩碑を建立して下さいました。
除幕式には多数の関係者参列のもと、熱海少年少女合唱団により、「モンキーパズル」のうたが演奏されました。
それが契機となって今秋、熱海少年少女合唱団創立二十周年に、熱海にちなんだ組曲の作詞の委嘱を戴き、演奏の運びとなりました。
一篇の詩、一曲のうた、一本の木がこうして思いがけない拡がりの輪で結ばれた幸せを、改めて感じるのです。
出版にあたり柴崎芳夫社長、柴崎俊子常務、西野真由美氏、そしてすてきなイラストで飾って下さった武田淑子氏に、限りない感謝の花束を捧げます。
「子どもの日」風薫る多摩川畔にて--