14.わたしの処世訓(★)

<平成6年8月7日掲載文>※原文無し

 遊び上手 口説き上手 飲み上手 聞き上手 断り上手 逃げ上手等と言う言葉を聞くことがある。
 若いころの遊び上手や口説き上手は、色と笑いがあって楽しいものだ。
 また飲み上手や聞き上手の人には、成功者が多いと言うのも肯(うなず)けることだ。断り上手や逃げ上手、これは苦い経験を通して得たものだ。社会生活を営んでいる以上は、断り上手や逃げ上手でないと自分を滅ぼしてしまう。
 例えば私の経験からある日突然、日ごろ交信もない遠来の客が訪ねて来た。昔話に花を咲かせていると、思いもかけない火の粉がふりかかってきた。訪ねてきたのは借金が目的だった。
 この類(たぐい)の話は意外と中高年に多いのも、バブル以降の年齢的な就職難の社会現象かもしれない。無計画による収入と浪費のアンバランスで破綻(はたん)を招き他人に迷惑をかけるのは、社会生活の失格者であると思う。
 「お金は生きるように、社会のためになる事に使うこと。そして保証人には決してならないことですよ」と、幼いころから母の教えであり遺言であった。
 思いもかけず火の粉が飛んできた時、私は母の言葉を思い出し、すぐにその場でふり払うことを処世訓としている。
 他人に迷惑をかけずに、自分をまもり、平和に生きるには、スマートな断り上手であり、逃げ上手でなくてはならないと思う。